H30年度(2018年度)顕著な成果

論 文 "Evaluation of Himawari-8 surface downwelling solar radiation by SKYNET observations"
ジャーナル Atmospheric Measurement Techniques, 11, 2501-2521 (Apr 2018)
著 者 Damiani, A., H. Irie, T. Horio, T. Takamura, P. Khatri, H. Takenaka, T. Nagao, T. Y. Nakajima, R. R. Cordero
概 要
国際地上リモートセンシング観測ネットワーク(SKYNET)を活用して、これまでにない高時間・高空間分解能を有すひまわり8号の全天日射量データを系統的に評価した。雲やエアロゾルの不均一な時空間変動が最大の不確実性をもたらすことを定量的に明らかにするなど、静止気象衛星を利用した広範囲の全天日射量(さらには太陽光発電量)の時空間分布監視技術を家庭や地域を越えたエネルギーマネージメントとして社会実装する上での不可欠な科学的知見を得た。
【H30年度 顕著な成果/代表的な論文】

論 文 "Aerosol model evaluation using a geostationary satellites over East Asia in May 2016"
ジャーナル Atmospheric Research, 217, 93-113 (Mar 2019)
著 者 Goto, D., M. Kikuchi, K. Suzuki, M. Hayasaki, M. Yoshida, T. Nagao, M. Choi, J. Kim, N. Sugimoto, A. Shimizu, E. Oikawa, and T. Nakajima
概 要
本研究では、地表面日射量の衛星からの算定に必要な、大気エアロゾルの推定の高度化に向けた世界に先駆けた研究である。研究では、まず、JAXAが作成したひまわり8号搭載AHIイメジャーから得られるエアロゾルの光学的厚さのリモートセンシング値をNICAM-CHEM次世代大気化学モデルによるシミュレーション値と比較し、衛星手法とモデル手法に含まれる誤差を検討し、両者が最適に地表面日射量の推定に寄与できるようにデータ同化を行っている。その結果、東アジア域におけるエアロゾルの分布が推定できた。【H30年度 代表的な論文】

論 文 "A cross analysis of existing methods for modelling household appliance use"
ジャーナル Journal of Building Performance Simulation, 12(2), 160-179 (July 2018)
著 者 Yamaguchi, Y., S. Yilmaz, N. Prakash, S.K. Firth and Y. Shimoda
概 要
本論文は家庭部門エネルギー需要推計の方法論確立に貢献するものである。エネルギー需要を推計する方法には実測されたデータに基づくデータ駆動型のモデル、生活時間データ等に基づいてエネルギー需要が決定される構造を再現する決定構造ベースのモデルがある。モデル構築に利用可能なデータなど文脈に依存して性能や分析能力が異なるが、本論文は既往研究で確立された4種のモデルについて同じ条件の下で性能、分析能力を比較し、モデル設計において考慮すべき要因を明らかにした。【H30年度 代表的な論文】

論 文 "Study of Spatial Asynchrony Analysis for Solar Irradiance"
ジャーナル ICRERA 2018, Paris, IEEE. Data (Oct 2018)
著 者 Takamatsu, T. and T. Y. Nakajima
概 要 多数の太陽光発電システムが分散的に導入された電力システムでは,日射量の時間的な変動に加えて空間的な非同期性がその安定性に多大な影響を与える.このことから,日射の時空間的な変動特性を定量化することは,電力システムのリスク評価や設計の面からも重要であると考えられる.
本研究では,日射変動解析に「クロスサンプルエントロピー」と呼ばれる指標を用いることで,日射の空間的な非同期性について定量化をおこなうとともに,クロスサンプルエントロピーの解析手法に時間窓を導入することで,その時間推移の視覚化を可能とした.更に,解析によって得られた結果と東京都内に設置した観測システムから得られた全天画像データとの間で比較を行い,日射の時空間的な非同期性に関し,雲の状態に応じてその特徴が異なることを示した.

論 文 "長期エネルギー需給見通しにおける家庭部門CO2排出削減見込み量の検証"
ジャーナル 日本建築学会環境系論文集、第84巻、第757号、323-333 (2019年3月)
著 者 松岡綾子、杉山みなみ、桃木貴志、山口容平、下田吉之
概 要 本論文では、気象条件・家族構成・住宅の仕様などの条件の違いが考慮可能である家庭部門エネルギーエンドユースモデルを用いて、長期エネルギー需給見通しで示されている家庭部門向けの温暖化対策によるCO2排出削減見込み量を検証した。照明使用時間の過大な想定によりLED照明の導入による効果を2倍近く大きく見積もられていることなど、政府試算における問題点を明らかにした。本研究で開発したモデルは、CO2排出削減目標の達成に向けた議論や新たな政策立案において、現実に即したきめ細かな検討が可能であることを示した。

論 文 "Why do customers switch the contract to a local or renewable electricity supplier?"
ジャーナル eceee Summer Study 2018, Peer-reviewed paper (in print)
著 者 Amaha, S., S. Nishikiori and K. Hidaka
概 要
家庭用電力における契約変更(スイッチ)行動や将来の契約スイッチ意向に影響を与える要因について顧客へのアンケート調査をもとに分析した。先行研究では、顧客満足度やスイッチングコストがスイッチング行動に影響を及ぼすと示されている。本研究では、顧客満足度やスイッチングコストと同程度に、エネルギーに対する顧客の関心・行動が影響を及ぼすことを明らかにした。当該要因は消費者行動研究分野における「関与」の概念にて説明できる可能性があることを提起した。

社会・経済に波及する顕著な成果
本プロジェクトで独自開発された日射量計算のピラミッド画像生成スキームを開発し、WebベースのGISツール上で準リアルタイムに可視化することに成功した。可視化結果は一般にも公開可能であり、電力マネージメントはもちろんのこと、気象や防災、福祉や教育など幅広い利活用が可能である。さらに、町丁目単位(市区町村よりも詳細な単位)で計算される世帯行動パターンモデル計算結果も可視化することで、需要(行動モデル)と供給(日射量)の関係を直接比較することが可能となる。【H30年度 顕著な成果】

主要な国際
招待講演
"A basic course for atmospheric radiative transfer useful for surface solar radiation measurements and remote sensing" "Energy Demand Science for a De-carbonized Society in Building/Urban sector" Key Note "Renewable Energy Integration in Japan"
学 会 International Summer School-Conference "SOlar Radiation Based Established Techniques for aTmospheric Observations" (SORBETTO 2018), Rome, Italy (2018/7/19) IIASAーRITE Discussion workshop on Rethinking Energy Demand,東大寺会館 (2018/9/26) 17th Solar Integration Workshop, Stockholm, Sweden (2018/10/16)
発表者 Nakajima, T. Shimoda, Y. Ogimoto, K.

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