課題中間評価時における顕著な成果(H27年4月〜H29年8月)

優れた基礎研究としての成果
1. ひまわり衛星推定太陽放射量AMATERASSデータセット【JAXA-東大G】
 ひまわり8号観測データに基づく日射量の準リアルタイム解析システムを構築した。電力網に分散電源である太陽光発電システムを積極的に導入するためにはエネルギー源となる日射量の現況把握技術、及び予測技術が重要な要素となる。本研究では観測事実に基づく日射量推定技術として物理解法である放射伝達解法に基づく日射量解析をひまわり8号観測データに適用することで、日本の国土を網羅する面的な日射データ、名称AMATERASSデータセットを2.5分毎に準リアルタイムにて解析することを可能とした。
2. ヒートポンプ給湯機のデマンドレスポンス効果評価【東大生研G】
 2019年問題対応として、ヒートポンプ給湯機のデマンドレスポンスと家庭用蓄電池の活用を目的とし、給湯機、蓄電池の予測―計画―運用モデルを構築し、357世帯の実電力消費量データを用いて分析した。その結果、給湯機の最適運用によって、従来の夜間運転に比べて、平均で年間5800円のコストメリットと、8%の省エネ効果をもたらし、このとき家庭用太陽光発電量の自家消費率は32%から45%へ増加し、家庭用蓄電池2~4kWhの導入時と同等の効果があることを確認した。研究成果のプレスリリースは、国内のメディアに多数取り上げられ、ヒートポンプ給湯機のDRの重要性が認識され、実装に向けた開発に先鞭をつけた。
科学技術イノベーションに大きく寄与する成果
1. 三次元離散雲の放射収支算定に関わる放射伝達解法の研究【JAXA-東大G】
 本論文では、3次元的に不均質な雲場による太陽放射フラックスの反射、透過を正確に扱うことのできるモンテカルロ型放射計算コードを開発し、実際の衛星データに適用して、雲場の3次元構造が地球放射収支に及ぼす影響を調べた。また、放射収支の観点から雲の3次元構造を特徴付けるパラメータを構築した。本手法によって、従来、平行平板近似による放射伝達計算では大きな誤差を引き起こす3次元的に不均質な雲場が存在する場合の太陽エネルギー算定の方法論が確立できた。
2. 住宅エネルギー需要予測モデルの開発 【阪大G】
 家庭を対象としたエネルギーマネジメントシステムの計画のためには、電力ロードカーブを、その構成機器別に精度良く予測することが必要である。本研究では、世帯および住宅ストックの分布の再現、居住者行動のモデル化により、高時間解像度のボトムアップ型エネルギー需要予測モデルを構築した。関西地方の約1200世帯のスマートメータデータとの比較により、夏期および中間期について電力ロードカーブの予測精度が十分に高いことを確認した。また、家庭における各種節電行動が系統電力ロードカーブに与える影響を評価し、冷房よりも照明に関する節電行動の効果が大きいこと、家族構成による効果の差が大きいことなどを示した。

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