■プロフィール


東海大学情報技術センター特定研究員
国籍:中国・内モンゴル自治区

■故郷の紹介

私の故郷は中国内モンゴルです。子供の時代はモンゴル大草原(左の写真)で過ごしました。夏の草原といえば広大な大地に緑のじゅうたんを敷き詰めたような景色です。最近は草原の砂漠化が増えてきています。特に7月中旬から雨が多く降るため、水分が豊富になり、生命が溢れる時期となります。毎年この時期にモンゴルの伝統的な祭りであるナーダムが始まります。ナーダムはモンゴル語の「遊戯」という意味で、モンゴル相撲(ブフ)、競馬、弓道の3つの競技を行い、神に捧げるモンゴル民族の伝統的なスポーツの祭典です。その中で、私はモンゴル相撲(右の写真)が一番好きです。体が小さいため、子供の時から相手を倒した記憶は薄いですが、弟に勝っていたことが印象に残っています。2003年9月に故郷を離れ、千葉大学に留学しました。日本に来てから日本の相撲を好きになって、相撲ファンになりました。皆さんチャンスがあれば私の故郷にぜひ遊びにきてください。

■D論の内容

私は2010年3月に千葉大学大学院自然科学研究科•地球生命圏科学専攻•博士後期課程を修了しました。研究テーマは、DMSP/OLS 衛星データを用いた電力消費量と発電所の CO2 排出量の推定です。人間の産業活動の拡大に伴う化石燃料の大量消費により、CO2 など温室効果ガス排出量はこの 100 年間に急速に増加し、地球温暖化が進行しています。全球の CO2 削減目標を達成するには、国別の CO2 排出量を正確に把握し、排出量削減効果を評価することが重要です。化石燃料の消費によるCO2排出量の中、発電によるCO2排出量は高い割合を占めます。この研究では、1999 年の 1 年間の DMSP/OLS-VIS 夜間の衛星画像を用いて、人間活動による夜間光(定常光)を抽出し、DMSP/OLS ゲイン調整画像を用いて定常光の飽和光を補正しました。補正した定常光の画像から日本を含むアジア 10ヶ国の電力消費量と発電所の CO2 排出量を推定し、統計データを用いて推定結果の考察を行いました。結果、定常光の単位DN値当たりの CO2 排出量は対象国の中で最も低いことがわかりました。本研究結果は、統計デー タが未整備な開発途上国の発電起源の CO2 排出量の推定について、日本を基準とした本推定式を適用することにより対象国の最低の排出量の推定ができる可能性を示しました。

■東海大での研究内容

宇宙航空研究開発機構(JAXA)が推進している次世代地球観測衛星、地球環境変動観測ミッション(GCOM-C)に搭載される多波長光学放射計(SGLI)のデータ解析アルゴリズム開発、氷雲のメカニズム解明に関する研究をしています。雲は気候システムの中で重要な役割を果たします。雲は太陽光をさえぎり地表面へ到達する太陽エネルギーを晴天のときよりも減少させ、地球―大気系を冷却する日傘効果を持っています。一方、地球および下層の大気から放射される赤外光に対してはこれをほとんど吸収し、雲はその温度での黒体放射を上の宇宙空間と下の地球に放射しているため、地球―大気系を温める温室効果の働きも持っています。そのため、雲の研究は地球システムの理解を深める上でとても重要です。研究課題の氷雲の散乱問題は複雑であり、散乱問題の解明には更なる努力が必要です。


夏のホロンボイル大草原

ナーダムのモンゴル相撲
中島研究室 – Nakajima Laboratory – "Dialogue with Blue Planet"
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