ライブラリの構築

地球環境観測では多くの情報処理が行われます。それぞれの処理内容に応じて、処理プログラムを作成しシステム化が行われます。それぞれのシステムでは、データの入出力、フォーマット変換、ニュートン法等による方程式解法、各種行列演算等、共通的な処理が多く存在します。これらを共通的に活用できるモジュールとして整備し、ライブラリを作成することで、より効率的なシステム開発が可能になります。

作成したライブラリは、人に使ってもらうことでさらに大きな価値を生み出します。科学の発展に貢献するために、研究成果を人が使いやすい形で、しかも効率よく配布する手法について考える必要があります。

本研究室では、国内外の研究者との連携プロジェクトである、OpenCLASTR(オープンクラスター)に参加し、これらの研究課題に取り組んでいます。

プログラミング手法の研究

モジュール化には多くの解決すべき課題があります。例えば、あるひとつのまとまった仕事を行うプログラム(サブルーチンと呼ばれます)を作成したときに、そのプログラムが他のシステムにおいても活用しやすい形である必要があります。そのためには、他のユーザーが理解しやすい平易な記述であることに加え、そのサブルーチン内で処理が完全完結する仕様になっている必要があります。
この完全完結の程度を、モジュール強度と呼びます。モジュール強度の弱いサブルーチンは、他のプログラムに転用するためには多くの書き換えが必要になってしまいます。

モジュール強度の強いサブルーチンを作成すること自体は比較的容易ですが、反面、処理性能が落ちることがあります。両者のさじ加減を考慮しつつ、よりスマートなプログラム手法を開発することが、本研究の作業の一つです。

ライブラリ構築と成果の配布に関する研究

多くのサブルーチンをまとめたものをライブラリと呼びます。長年研究を続けていくと、多くのサブルーチンがライブラリに登録されていくことになります。

ある研究者が幾つかのサブルーチンで構成される一連の処理を行うプログラムを作成し、それを人に使ってもらいたいと考えたとします。その場合に、必要のないサブルーチンまで全てが含まれたライブラリ全体を配布することもできますが、必要なサブルーチンだけを抜き出したパッケージを作成し、そのパッケージを配布することでサイズを小さくすることができます。

数ステップで配布パッケージを作成する手法を開発することが本研究の作業の一つです。

中島研究室 – Nakajima Laboratory – "Dialogue with Blue Planet"
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